今さらながら2023年の振り返りと2024年の展望。CTOとは。

はじめに

すでに2024年も10日目が過ぎて、もちろん仕事始めもしているのですが昨年中に間に合わなかった振り返りとかをしていこうかなと思います。

前提

自分は株式会社Singular Perturbations(以下SP)というスタートアップで取締役CTOをしている。この会社は『犯罪予測』というテクノロジーを研究開発し、それをもとにしたソリューションをプロダクトとして提供している。

また、これとは別に妻と一緒に会社をやっている。とはいえ自分はこの会社のオーナーではあるが代表取締役社長は妻となっている。自分は役員ですらない。

2023年を一言で言うと

『停滞』の一言につきる。といってもこれはあくまでもエンジニアとしての停滞という意味。

どういうことかというと2023年はプロダクトの開発ということ自体をあまりしなかったのもあるし、仕事としてソフトウェアエンジニアリングの観点で新しいこともあまりできなかったなというのが率直な感想。つまり2023年はエンジニアとしての活動は少なめだったのだ。

なぜかというと、2022年末にSPでは会社としての事業の進め方について見直しをしており、大きく南米事業と国内事業にわけることになった。それぞれの詳細は割愛するが、自分はそのうちの国内事業の方をメインで面倒見ることになったのである。

ちなみにこの国内事業は具体的には日本の自治体を顧客とした事業。そしてこの事業はすでに存在していたプロダクトに対して自治体向けの機能追加および改修を施し売っていくというもの。

というわけでプロダクトの開発としては2023年の1月から3月に機能追加および改修をしたのを最後にしばらくはちょっとした不具合修正などだけとなりました。しかもここは業務委託のエンジニアにお願いをしていたので自分はコードのレビューくらいです。

何をしていたか

ではほとんどの期間、何をして過ごしていたのか。一言で言うのは難しいのだが、あえて言うならば国内事業の事業開発と営業活動になる。

先ほど国内事業の方を担当していたと書いたがまさにこの事業をどうするか、どう売っていくかというところを常に考えてオペレーションを回していた一年になる。具体的には営業プロセスとしてリードをどう獲得していくか、リード作りの方策を検討するところから始まってそのリードに対してどういった形でどういう営業的アプローチを行ってクロージングに持っていくかというところを設計していた。また、これら営業プロセスの可視化や案件管理をどうするかなども考えて整備するなど。あとは地味なところでマスメールの文面作ったり、営業資料の作成なども行っていた感じ。

実際の営業行為はインサイドセールスやフィールドセールスのメンバーが行うのだけれど、インサイドセールスによる電話営業以降の後に行われるZoomや訪問での顧客ミーティングにはフィールドセールスに同行する形でほぼすべてに参加していた。そういえば合同セミナーみたいなのも3回/日×3日/週っていうセットで何回かやったりもしたな。そこでのスピーカーももちろん担当。

まあ、そんな感じで営業メンバーの管理もしつつオペレーションをしていくってのがメインの1年だったかな。なのでエンジニアとしての活動はあまりなかったので「停滞」と表現した感じ。

一方でプライベートな会社の方はこれまで妻中心にちょろちょろとやってきたんだけど、事業内容だったり取り組み方を見直してYoYで200%とそこそこ好調だった。でももとが低空飛行だったのでお察し。とはいえこっちも延びていくといいなとも考えている。

それ以外では2023年はブログの本数も少なかった。2021年、2022年と年間で50本程度書いていたのが2023年は13本に留まった。

また、イベントなどでのパブリックな登壇もAWSのDevDayと自分でやったイベント、あとはCloudflare Meetupの3回くらい。

イベントの開催は久しぶりのオフラインイベントだった俺たちの本当にやりたかったDevDayや、後半にはFUJIYAMA Tech Showcase、新しい試みのCommunity Manager Meetupなんかを開催したりした。

2024年に向けて

実のところ、2024年もSPの仕事としては2023年と大きくは変わらない。ただし、南米事業も見ることになった。

南米事業についてはもともと社長が直接進めていたのだが、ここを見るようになる。といっても南米事業は現時点でうまく行ってないとかそういうわけではなくて、より加速させるために自分が見ることになった。

こちらについては2023年に進めてきた営業プロセスなどが既にあるのでこれらを振り返りつつ、より加速させるためにプロセスを改善していくこととそのオペレーションが中心だ。南米事業は当面は顧客として現地の警察組織が相手となるのだがお国柄もあり全然違うところもあったり、公的機関なので日本の自治体と似たようなところもある。そのあたりのキャッチアップを兼ねて2023年の11月くらいからはブラジル側のチーム1人1人に話しを聞いていくということをしていた。

その中で売り物としてのプロダクトについて整理を行っており現在はその開発を進めている。とはいえ、これもエンジニアとして手を動かしているかというとそうではなくてメンバーとの議論をしつつ、技術的な方向性を定めてドライブしていくという役割だ。つまりここに関してはP[jd]Mといった役割になっている。実際のところ自分が手を動かすよりも早かったりするのでこれでいい。ちなみに今取り組んでいるものはWASMを採用することでプロダクトの導入ハードルを抜本的に下げるというチャレンジで、これはそのうちどこかで話ができると思う。最近Xでよく投稿しているのはこの件だ。

一方で営業面では昨年の終わり頃にブラジル法人を設立していて、現地での営業はその法人に所属するメンバーが中心となる。顧客ミーティングに関してはポルトガル語スペイン語でちんぷんかんぷんなのであまり出ていない。12時間という時差の問題もあるし。なのでどちらかというとブラジル法人のメンバーとの目線合わせとゴール感の共有、メッセージングなどに注力している。

というわけで今年はこれを中心に1年を過ごす予定。

ちなみに他にもいくつか新規事業も同時に検討したり進めていたりするが、これも基本的にはP[jd]Mというような立ち位置になる。

他方、プライベートな会社のほうは2024年度もYoY200%を目指しましょうというのを妻にも伝えたところ。こっちはいろいろと新しい取り組みもしていきたいので個別に相談させてもらうことも出てくると思われる。

それ以外だと今年はこれまであまり出たことがなくて参加者としてしか参加したことがなかった色んな分野のイベントに出たいと思っているし、そういうイベントを開催したい。

手始めに3,4年ぶりに自分の趣味であるキャンプをテーマにしたエンジニアイベントを1月末に開催予定。

キャンプ好きエンジニア Meetup Vol.5 - connpass

そして2/1にはコスト削減に焦点をあてたイベントを開催予定。

第1回 AWSコスト削減 天下一武道会 - connpass

こちらのイベントはネタとしてタイムリーだったからかこれを書いている時点で申し込みが2400人に達しようとしているところでありすごいことになっている。企画者としては嬉しい。

あと個人的にはクラウド関連以外での露出を増やしたい。プラットフォーム系以外がいいんだけど、とはいえSREとかDevOpsみたいな文脈を望んでいるわけでもない。つまり模索中だ。なんか面白いこととかしたいなと思ってるので良ければお気軽に誘ってください。

CTOとは

さて、こんな感じで昨年と今年は特に仕事面ではどちらかというとビジネス的な側面が強い役割を担っていくことになる。

だが、僕の肩書は一応CTOである。CTO、つまり最高技術責任者なんだが自分自身が手を動かすという意味での技術的なタスクはあまりできていないのが実情だ。これに関して思うところはあるものの、CTOである前に取締役である。取締役ってことは会社のためにやれることはなんでもやるって人のことだと思っている。

そういう意味ではもともと今回の転職は1エンジニアやマネージャではなく経営に関与したかったというのが大きなモチベーションからだ。経営とはつまりビジネスでもあるのでそういう意味では今の状況は間違っていないし、ポジティブでもある。

他方で世の中のCTOたちと自分を見比べるとCTOとしてはどうなんだろうな。。。と思うことも多い。例えば、SPはスタートアップとはいえじっくり進めていくという戦略をとることにしたため世のスタートアップのようなガンガンエンジニアを採用して組織を急拡大させていくみたいなことは現時点ではしない予定だ。僕がジョインした当初はこういった動きもしていたのでエンジニア採用をやったり、エンジニア以外の採用もやったり、プロダクト開発のプロセス整備などそういった仕事も多かったけど今はそういったことはほとんどやっていないのでバリバリ技術面でリードしているCTOとか急成長するエンジニア組織課題をバシッと解決しているVPoEみたいな人たちには多少の引け目を感じるのも正直なところである。

ただ、2023年の活動を通して改めて思ったのは自分はコードを書きたいというよりはプロダクトを作って売りたいということである。なので今のような振る舞いは実はある意味理想的なのかもしれない。

また、こういった役割で活動を続けていく中で自分の意識も変わりつつある。

「CTO?やっぱ社長じゃなきゃダメでしょ」という気持ちが強くなっている。

最後に

というわけでSPの取締役CTOとして引き続き活動していくのをベースとして、新しいこともしてみたいなと思うのでなんか面白い話があればぜひお声がけください。相談にも乗りますよ!

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