※ 当初、成田空港での検査を「PCR検査」と書いていましたが正確にはPCRが検査ではなく「抗原検査」でした。該当箇所は単に「検査」と修正しました。
はじめに
実は2022年の1月22日から10日ほど仕事でブラジルに行ってました。2年ぶりの海外出張です。 今回は仕事は仕事なんですがJICAの調査ミッションでもあるため公用旅券での渡航です。
というか公用旅券なんていうものの存在を初めて知ったよ。 経路としてはJICAでブラジルに飛ぶ場合の規定ルートとされているカタールのドーハ経由です。これがかなり遠い。片道だいたい30時間くらい。 とはいえ行きは機上のの時間が長いくらいで、それはそれで疲れるもののブラジルはサンパウロに到着してしまえばサクッと入国して市街に行けるわけです。自分の場合、実際にはサンパウロからそのまま飛行機に乗ってベロオリゾンテというところまで行ったのですが。 問題は帰りです。 帰国時の成田空港での話は噂で色々聞いていたもののどうも実態がよくわからなかったのですが、晴れて体験してきたので思い出がてら記しておきます。 あくまでも2022年2月1日時点の僕の場合の話ですので違うケースがあるかも知れません。
ブラジル出国前後
さて、ブラジルはサンパウロから出国するにあたっては行きと同様に出発72時間前のPCR検査結果、いわゆる陰性証明書というのが必要になります。 これはサンパウロで手配して普通に取得しました。自分の場合、現地の旅行会社で日本語が通じるFTSツーリズモさんで手配しました。こちらで手配した場合は滞在先のホテルまで検体を取りに来てくれます。ただし、検体取りに来てくれるスタッフはポルトガル語だけで日本語はもちろん英語も通じません。
PCRテストの陰性証明書が取得できたらそれを航空会社へのチェックインのときに見せるだけですが、航空会社職員は何かのリストを紙で持っていて名前で照合してました。これが何かはわからない。 あとは普通に乗るだけですが、日本に入国する際に必要になるものとしてアンケート2種類と誓約書が必要になります。 アンケートは1種類は機内で配られたのですがもう一つは後で配られました。誓約書は事前に印刷しておくとスムーズかと思います。
受付
飛行機自体は17:30に着陸。機体から降りるのはすぐだったけど飛行機から降りたら列に並んで待機させられる。 一通り集まったら係の人に先導されてみんなでゾロゾロ移動して、しばらく歩いたら着席して待機させられる。ここはブロック分けされていて各ブロックにパイプ椅子が設置されている。隣の人と椅子が結構近いので感染力の強いオミクロンだとここで感染するんじゃないか?w 実際に隣のパキスタン人家族は咳き込んでたりしたので少し気にはなった。
なお、このあたりからは写真撮影禁止とのことだったので写真とかはない。
さて、ここでアンケートに回答したりその回答内容を係の人が確認したりされつつ、受付を待つ。なお、実績としてこの待機だけで既に1時間ほどかかった。
受付自体は誓約書などの書類の確認がメイン。アンケート結果とかを確認しつつ、いくつか滞在先などについて確認されたりもした。
検査
受付してからのオペレーションはスムーズ。
検査に進むのだが、このタイミングで採取容器が渡され番号が割り振られる。この番号はパスポートの裏にシールで貼られる。以降、この番号で呼び出し等が行われる。 そして、サクッと検査用の検体を採取。検査は唾液を採取するタイプ。なお、30分前から飲食禁止となっており喉が乾くかもしれないので、そうすると辛そう。 唾液の採取ブースは一人ひとり分けられていて左右も区切られている。正面の壁に唾液を促すために梅干しの写真が貼られていて微笑ましい。
唾液の採取が終わったら、また移動して待機期間中に使うアプリ「MySOS」への登録と説明がある。位置情報とビデオ電話で部屋にいることをチェックするというアプリ。
これが終わったらまた移動して書類やパスポートなどを確認した後、待機所の座席位置が案内される。ここまで大体2時間。だが、ここからが長かった。
待機
待機自体は広い場所にアルファベットでブロックに区切られていて、ちょっといいパイプ椅子が並べられていて番号が割り振られている。ちなみに自分はH4だった。
ここで自分の検査の結果が出るのを待つ。番号で呼び出されるんだけどこれが音声による案内のみ。日本語と英語。また、呼び出される順番は必ずしも番号順ではないのであとどのくらいかの目星もつかないのが辛かった。
なお、自販機で水とかちょっとした飲み物は買える。ここはキャッシュレスOKの自販機だった。SuicaとiDがあるのは確認した。ただし、水のペットボトルは途中で一度だけ配られる。
待機中は基本的にやることがないがPCやスマホの利用は禁止されていないのでそのあたりを使いつつ過ごすことになるんだけど、ちょっといいパイプ椅子でしかないのでPCの作業は首が痛くなる。そして椅子の周りに電源はない。
待機中は音声でアナウンスされるんだけど、番号のアナウンスがよく聞き取れないときもある。番号が表示されてると助かるんだがそういったものはない。したがってスマホやPCで映画とか見ていても呼び出しが始まったら一旦停止して耳を傾ける必要があった。
この待機中、待機所に関するアナウンスも流れていてかなり混雑していること、それゆえに希望には応えられない可能性が高いこと、テレビやアメニティがない場合もあるということが案内されていて不穏な雰囲気。
この待機がとにかく長い。自分の場合は最終的に6時間ほどかかった。これは小さい子どもがいるとかなり大変だと思う。
また、これだけ長いとお腹も空いてくるんだけど食べ物を買うような場所はない。一応不定期に食事(パン?)の配給があったようだが、不定期な上にくまなく全員にというわけでもないらしく、自分のいるブロックには回ってこなかった。このあたりは謎。
いずれにせよ、食べ物が取れることは期待しないほうがいいと思う。子どもなんかは空腹を我慢できなくなると思うので何か食べるもの、お菓子とかを機内持ち込みしておいたほうがいい。なぜならこの待機所のタイミングではまだ入国はしておらず、預け入れ荷物の受け取りもできないため。小さい子どもがいる場合はベビーカーも可能なら機内持ち込みしたほうがいい。赤ちゃんを寝かしておくような場所はない。
大人も可能ならば着陸前にしっかり食べておいた方がいい。また、待機が長時間化するにつれて諸々のバッテリーが無くなってくるのでこのあたりも要注意。自分はモバイルバッテリーでしのいだ。
係の人に聞いたところ3時間から4時間待つことも多いとのこと。なお、最後のほうはアナウンスで現在残っている人たちは全員陰性であること、待機所への配送に時間がかかっているという案内がされるようになった。したがって陽性だった人がどういう感じのオペレーションだったかはわからない。
そして、待つこと6時間、ついに自分の番号が呼ばれた。この時点で期待着陸からはすでに8時間経過している。自分の場合はこの時点で午前1時30分くらいだった。30時間のフライトのあとでこれは正直きつい。
入国
長い長い待機の後、自分の番号が呼ばれたらついに入国へとすすめる。ここは普通に検査結果が陰性だったことを示すピンクの紙をもらって進むだけ。
入国手続きも通常と変わりない。ここは顔認証でさくっと。
入国が終わったらようやく預け入れ荷物を受取る。当然ながらここまでで8時間以上経過しているのでターンテーブルでぐるぐる回っているわけではなく、一箇所に集められているので自分の荷物を探してピックアップ。これバゲージロストしてたらさらに辛いな。荷物を取ったら税関へ。
なお、2年ぶりに海外に行ったんだけど税関申告書を紙じゃなくてアプリからもできるようになってた。紙に書く内容をアプリで入力してQRコードが表示されるのでそれを機械に読み取らせるだけ。早いけど結局出たところで待機なのであまりかわらないかも。
護送
荷物も受け取って無事入国したら今度は待機所までのバス待機で並ばされる。ちなみに自分の向かう待機所についてはこの時点ではまだ聞かされてない。先人の話では地方とかになるケースもあるって聞いていたのでドキドキしていたけど流石にここまで来たら近郊だと信じたい。
ここでバスに乗るのにまた待機。今度は立って30分ほど待機。お腹が空いていたのとこのあと食べられるかもわからないので、このバス待ちしてる場所のすぐ近くにあるあの吉野家で待ってる間にちゃちゃっと食べたかった。無理だけど。
なお、自分はいつもは借りないグローバルWiFiを今回は借りていた。事前に問い合わせていたときには隔離のために返却が遅れる場合は延期分は無料でOK、返却は実費で宅配でってことだったのだけれどバス待ちの間に返却できました。係の人に言って待機中にグローバルWiFiのカウンターにある返却ボックスに入れてきました。
行き先はバスに乗る時に聞いたらようやく教えてくれた。自分の場合は池袋だった。最悪パターンの地方ではないもののまあまあ成田空港からは距離のある場所だ。でもこの時点ではホテルとかはわからず。ちなみに自分は今の家に引っ越す前に池袋に済んでいたので少しテンションがあがった。意味ないけど。
さて、2時20分くらいにバスは出発。本当はバスの中で寝たいところだけど時差のせいか気持ちが高ぶっているせいか全然寝れない。なお、バスはトイレないタイプなので事前にしておいたほうがいいかも。特に子ども連れの人は注意。
待機所到着〜入室
バスに乗って1時間ほど立って到着。この時点で自分の待機場所が池袋サンシャインシティのプリンスホテルだということを知る。これは当たりかも知れない。
まずは荷物を先に出すのでその間バス内で待機。二人ずつ降ろされてスタッフの人に先導されて受付場所へ。ロビーみたいなところにパイプ椅子が並んでるのでここに座って待機。この時点でもう3時30分。
資料が配られて待機所に関する説明を受け、その後一人ひとりチェックインみたいなことをしてルームキーを受け取る。配られた資料の一部、滞在のしおりを参考までに晒しておく。
その後、エレベータで自分の部屋のある階にあがるのだがこのエレベータも一人一人乗るようになっていて徹底されている。
また、この時点で本日分のお弁当配布は終了しているため、代わりにカップヌードルを用意しておいたとの案内があり、受け取る。これはありがたい。
結局、最終的に4時くらいに部屋に入室。着陸してから10.5時間後だ。これはなかなか大変。 ただ、待機所が池袋サンシャインシティのプリンスホテルなので事前に聞いてる話からするとこれは大当たりだったと思っている。部屋はダブルベッドのシングルルームだし、待機所のアナウンスでは「ないかもしれないけどごめんね」って言われていたテレビにWiFiもあるし、アメニティとかも全部揃ってる。スリッパもある。また、一部の人からは暖房がなく寒いって聞いていたが、もちろん暖房もあった。
さらに、プリンスホテルなのでポットにコップ、お茶なんかもある。ペットの水も6本ほど用意されていた。冷蔵庫もあり。
ホテルのポットは使いたくないので自分の持ってるやつを使うけど暖かいものが何も取れないって聞いてたけどそんなことはなさそう。早速自分でコーヒーを入れた。 ちなみに自分はそれ対策にフリーズドライにカップとカトラリーも持参してたがなくても平気だったかもしれない。
そんなこんなでカップヌードル食べたり、健康観察アプリの登録したりして5時30分くらいに就寝。
最後に感想など
日本の水際対策は思っていたよりしっかりちゃんとやっていてすごいなと思う反面、体力的にはかなりきついし、時間的にもかなりかかる。長時間のフライトの直後でこれは高齢者や子どもなど体力があまりない人にはかなりキツそう。
また、待機期間が明けてもホテルから直接自宅へ帰れるわけではなく、一旦成田空港まで戻ってからの帰宅になるらしい。もちろん公共交通機関は使えず、自家用車かハイヤーだ。
一方でブラジルで見た街の様子や、実際にオミクロン株に感染した知人の話を聞く限りここまでして守るものって何だろうかというのも正直な感想としてある。ブラジルでは入国時の隔離はない。高齢者などもいるから自分の置かれた状況だけでは一概に言えないのはわかるし、いろんな視点・観点があるのでこれに関しては議論をするつもりはない。
また、我々も大変だけどこのオペレーションをしているスタッフの人たちの負担も相当なものだろう。実際に待機所では長期間の待機に苛立ちをスタッフにぶつけている人もいた。
とにもかくにも早く正常に戻って欲しいと願うばかり。