久しぶりのポエムです。先日Xで何気なくこんな投稿をした。今回のポエムはこの投稿がきっかけだ。
自分でプロダクト作るのもいいけど、すでに多くのユーザー抱えて世の中の役に立っててイケてるプロダクトを開発してるチームの困りごとの解決を支援した方が結果的に世の中により多く貢献できるのでは?と思って今はDELTAにいる
— Keisuke Nishitani (@Keisuke69) 2024年11月2日
今思えばAWSに入った時も同じような考えだった
僕はこれまでずっとソフトウェアエンジニアとして20年くらい働いてきた。ソフトウェアエンジニアと言っているがインフラ領域をやっていた期間もキャリア初期に多少ある。クラウドではなくオンプレだ。2000年代後半はとあるクラウドサービスを作る側にいて、利用者としてクラウドを使うようになった2011年以降はサーバーサイドの開発でクラウドインフラの構築を包含するようになっている。そして2010年代後半からはフロントエンドに傾倒していくわけだ。
また、これまでIC(Indivisual Contributer)もマネージャーも時々に応じてやってきた。マネージャーをやる理由は単に1人でやれることには限界があるので影響力を大きくするためにはチームで臨んだ方がいいからだ。そういう意味では自分のやりたいことを実現するためにチームを作ると言ってもいい。なのでマネジメントにネガティブな思いは全くない。 この辺りの話はちょっと切り口は違うがここにも書いてある。
プログラマーのキャリアについて考える - Sweet Escape
直近ではとあるスタートアップのCTOをしつつ株式会社DELTAのCOOとしての活動がメインだ。どちらも役員。この辺りの話もここに書いてある。
コードの海からビジネスの大陸へ。COOに挑戦します。 - Sweet Escape
今回はそんな僕が「何のために働くのか」という点について記したいと思う。これまでも1 on 1とかキャリア相談された際などに話すことはあったが冒頭の自分自身の投稿をきっかけに改めて考えたので言語化してみようかと。
まず、「何のために働くのか」と言っても自分自身だけでも色んな観点がある。そもそも働く理由だったりなぜその会社にいるのかだったり。考え方については人生が進むにつれて変わるものもあれば変わらないものもある。では僕が何のために働いているかというと根本はこれだと思う。
『いつか自分の手の届く範囲の人が困ったときに、躊躇なく助けられるようにするため』
もちろん生活するためってのはある。加えて生活費以外にももっとお金は欲しい。国内外に旅行へ行き、美味いものを食べ、欲しいものを買うためにはお金が必要だ。僕は欲に塗れた者なのだ。それは否定しない。
でも、必要最低限の生活費以上にお金が欲しい理由は先に挙げたものだ。世界平和とか壮大で分不相応なことを言うつもりはない。自分の家族や親戚はもちろん、友人、知人、何かしらの縁がある人が困っていたときに躊躇なく支援できるようになりたい。それにはやはりお金が必要だと思っている。世の中は綺麗事だけではない。
そして、これを根源としつつそこから広がる「働く上で大事にしていること」ってのがいくつかある。
僕は元来いわゆる副業にはあまり興味がない。特に開発工程をやる副業についてはその時間があるなら本業のプロダクト開発に回したいと思っている。でも自分の知見や経験、ネットワークを必要としている人がもしいるのであれば提供したい。これはここ5,6年で生まれてきた思いだ。きっかけは覚えていない。
例えば、TechTrainというサービスで若手エンジニアのメンタリングを2018年くらいからやっているのはそういう理由だ。代表のおざまささんの「エンジニアリングで日本の国力を上げる」という思いに共感したからだ。若者が書いたコードをレビューしたり技術的につまづいたときの相談に乗っているのだがこれはまさに自分の知見が役に立てば、というところだ。
実はPittaというカジュアル面談サービスについてもサービス開始半年後くらいの2021年5月くらいからしばらくお手伝いをしていた。こちらは主に企画周りだったがこれも当時僕がTwitterでカジュ面をよくやっていたのと、代表の中村さんが感じていた採用周りにおける課題感やビジョンに共感したからだ。
どちらも共通しているのはいわゆる技術顧問というようなものではないが、その後去年くらいからいくつか請われるままに何社か手伝うようになった。それはやはり自分の知見を必要としてくれる人がいるなら応えようという思ったからであり、どれもプロダクトやシステムの開発そのものというよりは、エンジニアのために何かをしたり、頼れる人がいない状況における壁打ち相手というのが多い。今いるDELTAも最初はそんな感じだった。ただし、対価はいただくことにしている。理由は対価を得ることで責任感を持つためだ。
もう少し広く意味を取るならば「社会貢献」なんだと思う。
自分が働く理由の根源は先に述べた通りだが、そのためなら仕事は何でもいいとは思っていない。昔は自分の成長だけを考えていたがそうじゃなくなったのはAWSに入った前後から。
2014年にAWSに入ったのは自分のエンジニアとしての幅を広げるために色んな会社の色んなアーキテクチャを見たいっていうのと、クラウドという武器の可能性を知らない人、使いたいのに使いこなし方がわからない人たちの手助けをしたいと思ったから。ひいては日本の企業がグローバルで戦うための武器として、グローバルでは当たり前になりつつあったクラウドを使えるようになって欲しかったのでそのお手伝い、というのがあった。入社後も通常の職務に加えて「開発者のための何か」といった活動が割と多かった。
そして、その後Singular Perturbationsというスタートアップに移るのだがこれはわかりやすく社会貢献だ。この会社は「いつ、どこで、未来の犯罪が起きるか」を予測するシステムを開発している。治安のいい日本にいると感じることはあまりないが海外は犯罪の起きた件数が文字通り桁違いだ。そんな犯罪を少しでも減らすことに、被害者を減らすことにソフトウェアの領域から貢献できればと思い当時研究者である社長しかいなかったこの会社に移ることにした。
そこから今年の6月からDELTAでの仕事を開始するわけだが、なぜDELTAだったかというとそれは冒頭のXでの投稿だったり経緯もさきほどのブログに一部記載はしているがこれはどちらかという個人の成長に寄った話だったのでもう少し書く。
世の中を変えるほどのプロダクトを開発をするのは正直に言って難しい。プロダクトの成否は理屈だけではないところも多い。そんな中で自分自身が「プロダクトを作る」ということにこだわる必要はないのでは?と考えている。ここまで長々と述べてきた社会貢献みたいな話とも関連するのだが、自分で作って世の中変えていくっていうのももちろん素晴らしいチャレンジだ。でも、すでに一定の成果を収めていて多くのユーザーを抱えてるゆえに困っているプロダクト開発チームの困りごとや、これから世の中を変えようとしている最中だからこそ困っているプロダクト開発チームの困りごと、何なら主事業がITではない企業だからこそ抱えているエンジニア組織の困りごとを解決する支援をしていったほうが広く世の中に貢献できるのではないかと思っている。
以下の投稿はSingular Perturbationsに移って自身がプロダクト開発に従事しながらユーザとの打ち合わせをしたときの話。2021年7月頃。
先日とあるお堅い組織の人と仕事で話す機会があったのだけど、デジタルの力で本気で変えようとしていて。でも抵抗勢力も多いし知見も不足してるって話。今はそういう人を支援する仕事ではなくなったんだけどやっぱりそうやって変わろうとしてる人たちは応援したくなるし何か手伝ってあげたくなる
— Keisuke Nishitani (@Keisuke69) 2021年7月7日
そして、その半年後くらいの投稿。もちろん当時もCTOとしてプロダクト開発に従事している頃だ。
自分自信が社会課題の解決に貢献したいってのもあるけど、もう一つのテーマとして変わりたいと思っている企業が変わる手伝いをしたいってのがあって。ITの観点でnot matureなところを支援できればとは思ってたりする。
— Keisuke Nishitani (@Keisuke69) 2022年2月23日
僕のXをフォローしてくれている人なら感じていることも多いと思うけど、僕のXはその時思ったことや感じたことの垂れ流しだ。定期的にこんな投稿をしているってことは今DELTAにいるのは先の理由も相まって必然なのかもしれない。ちなみに、DELTAはSEVENRICHという会計事務所を母体としたグループに所属しているんだが、このグループのオーナーである服部さんのコンセプトである「目の前の人を幸せにする」というのも自分の理念に近しいところがある。これ自体は後から知ったことだったけど。なお、エンジニアイベントをするのも社会貢献みたいなもんだと思いつつある。
最後に、人それぞれ考え方はあるので全く否定はしないが、僕は起業のための起業、プロダクト開発のためのプロダクト開発をすることには興味がない。どちらも手段の一つでしかないと考えている。DELTAも今は技術支援というクライアントワークが主体ではあるが、プロダクトやサービスといった形のほうがより広く世の中の役に立つと思ったときはそういったものを作る。実際に先月からFinOps boosterというサービスを提供し始めた。
長々とここまで書いてきたが、共感する人もいればいない人もいるだろう。批判されるいわれはないがもしかしたらそういう人もいるかもしれない。これは僕の意見でしかないけど共感する人がいれば一緒に何かしたいな、とは思う。