リモートワークは難しい。生産性悪くて当たり前

この投稿はnoteに書いたものの転載です

 

この話は以前に書いた話の続きです。続きというかあれから2ヶ月近くたった今どんな感じになってるかの話。ちなみに以前のはこちら。タイトルはリモートワークって言葉を使ってるけどいわゆるテレワークとか在宅勤務とかWFH(Work From Home)って呼ぶやつのことです。ちなみに弊社ではWFHが一般的。

まず、前回と大きく違うのは会社として基本WFHになったということ。前回の時点ではそこまでではなく、会社としてはこれまで通り必要に応じてWFHを選択してくださいという状況だった(弊社はもともとWFH全然ありだった)。それが3月に入って基本的にWFHとなった。そしてその後さらに進んで今では出社するにはマネージャの承認が必要という状況にある。これは社員を守るための措置ということなので普通に受け入れている。

さて、そんな感じで会社がそうなるちょっと前の2月半ばからWFHを続けてきて今がどんな感じか。

なお、大前提としてもともとWFH自体が当たり前の選択肢として認められている職場環境、かつ外資系ということもありハンコ文化みたいなものがない職場環境でありWFHと親和性が高い職である場合の話です。

パフォーマンス

よく言うパフォーマンスについては正直よくわからない。自宅で仕事する上で環境面では恵まれているほうだと思うので個人作業は後述のイスの問題くらいで特にパフォーマンスが落ちている気はしていない。

一方で、僕の場合は立場上、ミーティングが多いポジションなのでそれらがオンラインになったことによる影響は多少はある。やっぱりちょっとした画面をちょっと相手に見せる、とか画面を見せながら指差して『あれ』とか『これ』で通じていたものが通じないのは確実に小さいフラストレーションになっている。

そして、子どもからするとミーティングはおしゃべりしてて楽しそう、なのでそれはつまり仕事じゃない!とのことで、だから私と遊んで!となるのはちょっと辛いところ。

また、WFHにおけるコミュニケーションの問題ってチーム内もさることながら実はチーム外との問題のほうが大きいとも感じつつある。チーム内とはミーティングなりチャットなりでまだコミュニケーションが取れるが、隣のチーム、他の組織が何やってるかとかってのが前はなんとなく漏れ聞こえてきたり、見えたりしたけれどそれらが全くわからなくなってしまった。例えば、オフィスを歩いていて、見知った人とちょっと会った際の雑談から相手のチームが新しくやろうとしていることを知ったり、フラッと歩いていてたまたま会って軽く相談されたりとか。そういうのはなくなってしまったことはマイナスに感じている。

また、これまで僕は各種イベントや勉強会などで講演することが多かったのだけどそれらもすべて中止になってしまった。その後、オンライン開催の流れができあがってきたのだが、オンラインでの登壇ってこれまで経験がなく参加者のちょっとした反応がないのが難しいそうとか思ってたけど、良く考えたら以前はよくやってたWebiner(オンラインセミナー)と変わらないってことに気づいてからは特に気になってない。ラジオみたいなものだと思ってやればいいだけだ。

そういえばこんな記事を見かけた。

www3.nhk.or.jp

着席、退席のボタンがあったり、『今まで物理的に自分の近くにいて、仕事をしているかどうか確認できた』というのを見て残念な気持ちになったけど一般的な感覚はこれに近いのかもしれない。

席に座ってるからって仕事してるとは限らない。マインスイーパとかフリーセルやってるだけのおじさんもきっと多いはずだ。この状況においてこれまでと同じ環境、やり方をし続けようというのが間違っていると思う。状況が変わった今、過去のやり方に固執していても仕方ないし無駄だ。そもそもこれって仕事の内容を見ていない。

そう言えば、最近面接するときに候補者からそのあたりの評価について聞かれたりすることも増えた気がしている。その点に関しては会社全体というより僕のマネージャとしてのスタイル的なものもあって以前とあまり変わっていない。つまり、以前からオフィスに来て席に座っていること、それそのものについては評価の対象として見ていないからだ。正直どこでいつ仕事していようが構わない。そもそも我々のロールはコアタイムなしのフルフレックスなので月間の所定労働時間さえ守られていればいい。そもそもどこで何時間働いたかなんてのは労務的な観点とか個人のWork Life Balanceや精神面といった観点では重要だが仕事のパフォーマンス評価の上ではそれほど重要ではないと思っている。なので僕としてはWeeklyやMonthly、Quarteryのレポートで成果や結果を示してくれていれば何の問題もない。ただし、これは従事している仕事の内容や企業の風土にも大きく左右されるだろう。

過去に何度も言っていて定期的にツイートとかもしてるんだけど、仕事する上で人に期待してはいけない。信頼しても期待はしない。人は自分とは違う、勝手な期待で相手を評価してはいけない。ということをこれまで以上に自分に言い聞かせてる。今みたいにコミュニケーションオーバーヘッドの高い状況だからこそ改めて。

ここまで書いてみて、冒頭で個人作業の観点ではパフォーマンスが落ちていない気がしているとは言ったものの、全体的にはやはり落ちているんだろうなとも思う。

例えばネットワークを例にあげてもそうで家のネットワークの速度、安定性はやはり会社には及ばない。もちろん頑張ればそんなこともないんだろうけどそこに興味がない人にとって頑張らなければいけないという状況自体がストレスだ。

そして、いくらこちらの環境を整えてもオンライン会議だったりには相手がいるわけで、その全員が一定以上の環境を持つわけではない。ノイズだったり何だったりが細かいストレスになってるだろう。さらにそのストレスに感じるポイント、レベルも人によって様々だ。

例えば僕はこれが気になる。

そんなこんなで細かいストレスの蓄積によってパフォーマンスや生産性は落ちていくのだろう。そしてそれは当たり前のことなのだと思って受け入れたい。頑張ること自体がストレスになる人も多いだろう。ただし、個人的にはこの状況を単に甘んじて受け入れるだけでなく、この状況でやれる新しいやり方とかは常に模索している。矛盾してるのはわかってる。

WFH環境

WFHが長引くにつれ自宅の環境が整備されつつある。もともと自宅には自分の部屋があって、デスクとオフィスチェア、ソファとかを置いてあった。あとはディスプレイ兼用のテレビも。周りの話を聞くと、自室があって自分だけがいつでも使えるデスクがある時点で恵まれていると言える。また、今年から小学生になる娘がいて、妻は専業主婦みたいなものだ。そういう点でも共働きの家庭と比べるとだいぶマシだろう。ただ、デスクの幅が小さいこともあり、これまでは家で仕事するときもほとんどデスクを使うことはなかった。だが、今回のような状況になってデスクで仕事することが増え、それが長期的になりそうだということで使い勝手をよくすべく環境を揃えつつある。まずやったのがエルゴトロンのモニターアームを導入したこと。あとは机の上を広くすべく、Macbook Proは引き出しに収納し、クラムシェルで使うようにした。キーボードとマウスはMagic KeyboardとMagic Mouse。これでかなりすっきりした。

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MBPを引き出しに収納したので必然的にカメラが使えなくなったのでWebカメラを購入。これは品薄になってた中で手ごろな値段のものを買った。次に問題になったのがオンラインミーティング用のスピーカーとマイク。これまでAirPods Proを使っていたのだけど本格的にWFHになるにつれミーティングが連続したときに電池持たない問題が発生。だいたい連続で3時間くらい。というわけでこれも手頃な値段でそこそこ評判の良かったAnkerのPowerConfを購入した。
その後、オンラインでプレゼンする機会が出てきて必要になったのがサブディスプレイ。僕は喋りたいことを忘れてしまいがちなので、プレゼンの際はノート必須なのだ。そこに伝えなければいけないこととかをメモしてある。というわけでディスプレイをもう1枚買って、合わせてエルゴトロン のアームも追加購入。こんな感じになった。

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さて、ずっとここまでAmazon Basicで7000円で買ったオフィスチェアを使ってたけど日に日に腰と背中が辛くなってきたので、仕事環境の最後のピースとして思い切ってオカムラのバロンを購入(でも現時点ではまだ届いてない)。
そして、部屋の光量的な問題でカーテン閉めていると画質が悪くザラザラで、カーテン開けると逆光という状態で苦労していたのでリングライト(別名: 女優ライト)も購入した。

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これで環境面は一先ず整った気がする。といってもカメラとマイクの音質は全然で安いなりだ。一部の人たちみたいに機材揃えるのもありだけどこれ以上デスクにごちゃごちゃ置きたくない。

そんなこんなで自宅の作業環境が在宅勤務に最適化されてしまったため、ラップトップPCの利便性は失われてしまった。

オンラインミーティング

これまでは音声だけでやることが多かったけど、最近は顔を出すことが増えた。仕事がらAmazon Chimeでミーティングすることが多いのだけど、Chimeにはバーチャル背景機能がないことが残念だ。自宅でオンラインミーティングで顔出しするとどうしても部屋が写り込んでしまう。片付ければいいだけなんだけどやっぱりバーチャル背景機能があるといいなと思う。ちなみにChimeはSnap Cameraも使えない。このあたり、弊社からChimeでのミーティングを提示されたお客様も写り込む部屋を隠せたほうが嬉しいと思う人多いのではないかな。Snap CameraはFirefoxだと使えるらしいけど。
(04/27追記: Snap Cameraが使えないのはMacでクライアントもしくはChrome使った場合だけの模様。Windowsでは使えるとのこと)

最近はマイクをミュートせずにONにしっぱなしにしたほうがちょっとした発言とかがやりやすい気がしている。特にディスカッションする場合なんかは喋る人、聞く人を明確にわけないほうがいいと思う。発言する際の瞬発力が違う。

ツールで使うことが多いのはやはりAWSのサービスでもあるAmazon Chime。世界中、全社的に社内のミーティングはこれを使ってる。通信も音声も安定してるしCPUもそんなに使わないので手前味噌みたいになるが悪くない。社外とはZoomが多いかな。Zoomはときおり遅延が酷い時があったり、CPU食うのが気になるけどやはりバーチャル背景はいい。

あと、オンライン飲み会みたいなものは最近知ったRemoがいいと感じてる。居酒屋のテーブルごとに分かれる感じが再現できてる。オンライン飲み会はそんなに参加してないけど、個人的には人数多いとどうしても難しいところあるなという感じ。その点ではRemoのほうがテーブル出たり入ったりできていいかも。

日々の過ごし方

WFHになっても概ね問題なく仕事はできている。片道1時間の通勤がなくなったことで必然的に家族と過ごす時間も増えている。特に娘が「コロナウィルスのおかげでパパと毎日一緒にご飯食べれて嬉しい」と言っていたのは印象的だ。

一方で今まで通勤時間に漫画や動画など見ていたのがそれがなくなってしまい溜まってしまっていた。この辺りは最近家にいる時も漫画読んだりするようになって解消されつつある。

また、土日に出かけたり出来なくなったことでリフレッシュできていない感じはしてきている。土日に仕事することはないものの気分転換もできていない。

なお、家族がいるからか家で仕事することによる孤独感みたいなものは今のところ感じていない。

その他

まず、毎年シーズンごとに服を買うのだけど今年は全く買っていない。外に出ないからね。あとはこれまでは週末はほとんど家族で外出していて、その場合は昼夜外食だったのが家にいるのであきらかに使う金は減った。家で食べる食費は増えただろうけどそれを差し引いても減った。クレカの明細みても明らかだ。そして、長引くWFHのおかげで外に出ることがないため、ヘアワックスと香水が全く減らない。

体のメンテナンスに毎週1回マッサージに行っていたのだけど外出自粛が始まったあたりからなんとなく足が遠のいてしまっている。一応店は開いているのと僕が行くのはプライベートなやつなので他のお客さんが同時にいることはないんだけどなんとなく人に会うこと自体に抵抗を感じるようになっている。美容院も同じだ。みんな同じような感じなのか周りで坊主になってる人が増えてきている。

趣味のキャンプも最後に3月に行って以降行けていない。いくら野外とはいえ、外出自体を自粛すべきこの時期に行くようなものでもないかなと思っている。キャンプ場以外にも道中いろいろ寄ったりしてしまうしね。ほんと山買っておけばよかった。

例年であればフェスシーズンが始まっているがそれも軒並みキャンセルになっていて悲しい。自分が行くやつももちろんキャンセルになっている。フェスだけでなくライブも開催できない状態になっていて、まさにカルチャーの絶滅の危機だ。ライブハウスはもちろん営業できないのでこの状況を乗り切れないとせっかくライブできるような状況に戻っても演る場所がないという状況になってしまう。この状況をとても憂いていていくつかライブハウス支援とか個人でできる範囲でやっている。

あとはこういうのもある。

https://www.savelivehouse.com/

音楽好き、ライブ好きの人はぜひ文化の灯を絶やさぬように可能な範囲で支援してあげて欲しい。それこそ今までライブに行っていた分のチケット代とかの一部でもいいので。

というわけで

そんなこんなでこの状況を過ごしてはいるが恐らく元の世界、生活は戻ってこないだろう。そして僕個人の所感としては今のところなんとかなってはいるがやはりなかなか難しいな、というところ。というのも今までだと考えなくても良かったことを考えたり、工夫したり、妥協したりしつつなんとかなっているのが現状だからだ。でも今回の件を機に多くの企業がリモートワークを導入したりと働き方の多様性という観点では大きくアップデートすることを余儀なくされている。

怪我の功名というかこの点だけに関して言えばこれはこれで良かったのかもしれない。

 

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